短編小説の集い「のべらっくす」

こちらでの募集は休止になりました。今までありがとうございました。

【第28回】短編小説の集い「桜の季節」 総評

 最後の総評です。今まで応援ありがとうございました。

 

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〇やはり「桜」というと咲いて散ってというイメージから「生と死」に結びつきやすい。日本には四季があり、一度冬になって死んだような景色もまた春に再生する。その境目に存在する梅や桜などは昔から愛でられ、再生の象徴になったわけです。更に卒業式入学式シーズンに見る桜もそういった感傷をかきたてるのだろうと思います。

 

〇今回は前回、前々回に比べて卒業や入学に関する話が少なく、桜というモチーフを切り取った話が目立ったような気がしました。また、「その話に桜はなくてもいいんじゃないかなぁ」というのがあったりなかったりで、モチーフとストーリーをうまくひっかけられると良いのかなぁという感じです。

 

〇今回を以てはてなブログでの『短編小説の集い』の募集を無期限の休止とします。引き続きお題の提示などはnote版でゆるく行う予定で、またはてなブログからの参加も受け付けようと思っています。ただこのブログで募集するのはおしまい、ということです。

 

短編小説の集い novelax|霧夢|note

 

〇休止の理由は、はてなブログの中でこのような活動をすることに限界を感じたのと、このような場に何かを縛り付けているような気がしたからです。主催者自身のスタンスを変えずにいようと思っていたのですが、それが逆によくないのかなという思いからこのブログの卒業を決意しました。

 

〇極端な話をすると、小説なんて書かなくても生きていけるし、面白いことは世の中にゴマンと溢れているわけです。その「面白い」を的確に見つけて、また自分の中で何か「これを伝えたい!」という欲求があって、それがブレンドされたときに面白い何かが出来ると思うのです。「文章が上手になるにはどうしたらいいですか」みたいな質問を見るたびに、主催者は「文章がうまくなって何を伝えるの?」と思います。それを伝えるのに適切な文章の形があって、当てはまる形をいろいろ考えることが出来る人が「文章の上手い人」だと思います。発想が良くても文章が下手くそな人もいますし、文章だけ上手で中身のない人もたくさんいます。どちらかだけでもよくなくて、多分この辺はバランスなんだと思います。バランス大事です。

 

〇基本は何も変わらず、ただ淡々と日々を生き続けていくことだと思います。そんなこんなで最後ですが最後も変わらず在りたいものだと願います。それではまたどこかで、お元気で。

 

 【作品の感想】

grapefruit3.hatenadiary.jp

 

 はじめましてこんにちは。コンプレックスを抱えた主人公の鬱々とした心理や、それが晴れる様子がいいですね。察するに心理描写が主にご自身の経験を元に作られたもののようですが、そんなコンプレックスを昇華して小説として生かせているのできちんと前に進んでいると思います。また何かを書きたくなったら、是非心の赴くままに書いてほしいと世界のどこかから応援していますよ。

 

fgr-konoha.blog.jp

 

 はじめましてこんにちは。はてな以外からの参加で非常に嬉しい限りです。お話は受験に失敗して閉じこもってしまった少女の話ですね。大人からすれば人生のひとつの失敗も、彼女には人生の生き死にに関わる重大事であることがよくわかります。背伸びをしたくて煙草を吸った同級生を断罪してしまった理香やそれがよくないことであるということもよくわかっていない綾子の様子から彼女たちの家庭環境が垣間見えて、この後事態をどうリカバーするのか気になりました。登場人物の描写が最低限にも関わらず背景が作りこまれている印象を受けました。

 

donutno.hatenablog.com

 

 桜ということで花咲か爺さんから着想したと言うお話ですが、とても面白かったです。犬を埋めに行くというだけで様々な人間模様が垣間見られるのはすごくよかったです。確かに登場人物の雰囲気は90年代のドラマにありがちなのですが、スマートフォンなど現代のアイテムも駆使してひと騒動が起きて、そして結末も冷静に考えるととんでもない終わり方なのですが「犬を埋めに行く」という過程を経たことで自然と読者にも受け入れられるようなものになっているのがいいなぁと思いました。なんとなく登場人物の誰かがロン毛ファッションのような気がするのもまたいいなぁと思いました。

 

masarin-m.hatenablog.com

 

 最終回までお付き合いありがとうございました。今回の作品はムービークリップのようで、まさりんさんらしい作品だと思いました。おそらくご自身の心境を描いてくださったのだと思うのですが、言うべきことは長い長い感想で言った感じがするので、そんなところです。お疲れ様でした。

 

fnoithunder.hatenablog.com

 

 参加ありがとうございます。主人公のオジサン具合や戦争ものということで無情な戦場の様子が手榴弾で吹っ飛んだ人などよく描けていると思いました。欲を言えば、戦争ものの醍醐味はやはり「敵を倒す」ことであって、「仲間を守る」に描写が特化するとお説教モードがチラチラしてしまうと思うんです。そういうわけで「敵」が何なのか明確になっているとよかったかなぁと考えました。異星人が攻めてきているのかもしれないと思うと胸が熱いです。

 

masamitsu999.hatenablog.com

 

 こんにちは、こういうことは挑戦することに意義があると思っているので参加してくださって嬉しい限りです。不思議な女性と厭世観のある青年の話ですが、この女性が本当に存在しているものなのか気になりました。都合よく彼の前に現れて、彼の心情をズバリ言い当てているところから彼の中の深層心理やイマジナリーフレンド*1の類のようなものに感じました。バーのシーンも現実味がない感じがより幻想的で、もっと描写があると更に印象が強くなったと思いました。

 

yuasayo1013.hatenadiary.jp

 

 こんにちは、チャレンジしてくださりありがとうございました。桜の季節に起こった惨劇の話ですね。過度に盛り上げようとせずにどこまでも淡々とした描写がいいと思いました。勝手に小間使いを初老の男性だと思っていたのでいろいろと濃い話だと思ってしまったのですが、年齢や性別を限定するような表現がないのでいろいろ総合して若い女の子なのだろうという結論になりました。女給仕の匂いを覚えていると言うのも若い男性っぽいところがあったり真剣をすぐに扱えたり真剣を飾っておく主人もどういう存在だったのだろうなどというところから、この主人公の実態を考えるとワクワクしました。

 

library7.hateblo.jp

 

 参加ありがとうございます。桜の香りを中心にした会話劇ですが、嗅覚や気温を際立たせるような表現が見事だと思いました。桜の咲く頃の屋外の肌寒さとお風呂のふんわりとした暖かさ、そして桜のバスアロマという臭いだけはなく石鹸や湯の香りまで想像できる余地のある書き方はお風呂に入ったあとのようなふんわりとした印象でした。特にドラマチックでないのに、魅せる書き方の出来る素敵な方だなぁと思います。