読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

短編小説の集い「のべらっくす」

月1で出題されるお題に沿って短編小説を書く企画です。

【第26回】短編小説の集い「師走」 総評

 2016年もお付き合いいただきありがとうございました。

 

f:id:zeromoon0:20161201011105p:plain

 

〇おかげさまで2年と少し続いている企画です。このお題で3回目を開くことができたのもひとえに参加してくださる皆様のおかげです。来年も引き続き本企画をよろしくお願いいたします。

 

〇師走というテーマであるが、やはりメインはクリスマスになる。クリスマスを大々的に祝う文化が定着したのはここ数十年であるにも関わらず、昔から私たちは12月にケーキを食べていたような気がする。こうなってくるとそもそも文化とは一体何なのかわからなくなってくる。最近の子供はカボチャと言えば冬至よりもハロウィンだろうし、恐ろしい話だがバレンタインデーを「告白の日」と認識していない子供もいる。ただチョコを交換する日だと思っている。そうやって文化は変容し、生まれては消失していくのですね。

 

〇今月は感想を書くことについて少し書きます。結構感想を書いてくれる方が増えたので気が付いたのですが、他の人への感想は、大体「自分が他人から言われたいこと」の裏返しです。そんなわけで褒めるポイントが多い人は褒められたいし、改善点を指摘する人は大体改善点を求めているわけです。主催者の感想は主に後者で、加えてその作品の構造や背景を推察することが大好きなので毎回こういった評をつけています。そういうわけで、主に主催者の作品には「自身の経験の視点から外れた純粋な作品の構造」について書いてもらえるとすごくありがたいです。褒めるのも大事ですが、そういう部分に気付くことが出来ると自身の作品に反映できると考えます。

 

〇来月の「短編小説の集い」はお休みです。そのかわり「文章スケッチ」を新しくした特別企画を実施する予定です。

 

〇これから主催者もお正月休みになるので、感想の追加がしばらくできないかもしれません。それでも何とか全部の感想を書きますので、皆さんどんどん振り返ってください。それではよいお年を。

 

【感想】

yoko369.hatenablog.com

 

 はじめましてこんにちは。願いをかなえる「サンタクロース」と子猫になったKの話ですね。不思議な世界から子猫に生まれ変わり、そしてまた還っていく。この話を読んで最初に思い浮かべたのがメーテルリンクの『青い鳥』に出てくる未来の国です。これから生まれてくる子供たちが待機しているその場所も船に乗って地上へ行くというところで、Kが何者なのか明確に示している部分はありませんでしたが非常に無垢であると思いました。また「足が欲しい」という人魚姫や「地上の穢れを払って戻っていく」かぐや姫のモチーフも盛り込まれていて、読み解くと小難しくなりそうなのに登場人物がかわいらしくて文体からもスケールがあまり感じられなくて、個人的にとても好きです。ありがとうございました。

 

library7.hateblo.jp

 

 はじめましてこんにちは。読み終えた後の第一の感想が「すごい」でした。何か起きそうで全く何も起きなくて、その「何もない」ことに押しつぶされそうな主人公。起こるかもしれないイベントを先回りして全ての道を自ら叩き潰しかねない達観していると言えばしている感じに衝撃を受けました。おそらく主人公はそう考えるのが当たり前で周囲を観察しているようで肝心の自分の感情とイマイチ向き合えていない感じがまたいいです。「それでいい」と言い聞かせているけど、どこかでまだ納得できてない。その無意識に自身を傷つけてるのが「見知らぬ女性の腕の怪我」なのかなぁと思いました。とても面白かったです。

 

masarin-m.hatenablog.com

 

 どういう形にすれば良いのかいろいろ考えたのですがどのみちおそらく非常に長くなると思うので年が明けてから自ブログで一本言及記事を書こうと思います。お蕎麦とお餅を食べてお待ちください。学校の冬休みが明けるくらいまでの時期に何とかします。

※追記:何とかしました。大層長いうえに割と個人的なので興味のある人はどうぞ。

長い長い感想【主催者という名があったものとして】 - さよならドルバッキー

 

diary.sweetberry.jp

 

 真夏のクリスマスと言うことでサンタがサーフボードに乗ってやってくるところのお話ですね。人物を中心に情景描写があり、その心情と違和感がふんだんに書かれていて父と子がすれ違い和解するというテーマもよかったです。ただ、叙述トリックは必要ないかなあと思うのです。この話のメインテーマはやはり父と子の和解であると思いますので、そこに繋がるシーンを丁寧に書いたほうが効果的かと思います。読者を騙す時は作者は読者や登場人物にも悪意を向けています。今回のお話でのお父さんは悪意があって騙す意図があったとは思えないので、ストレートに感情を書いたほうが読者の共感も得やすいです。個人的な話をすると、このお父さんは奥さんが身重でおそらく義務教育中の息子がいるところから単身赴任と言う選択肢がなかったのかというところが非常に気になりますし、「余計な心配をかけたくない」ということを理由にかなり大事なことを言わない人は他にもとんでもない失敗をする気がするのです。この後のこの一家が非常に不安です。

 

※後は振り返りなどが確認次第追加していきます。