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短編小説の集い「のべらっくす」

月1で出題されるお題に沿って短編小説を書く企画です。

【第21回】短編小説の集い「時計」 総評

 大変お待たせしました。今月の総評です。

 

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〇「時計」というお題は面白かったと開催後に思った。4作品のうち3作品が無生物、あるいは人間以外のものが中心となって「時」についての物語を進めている。「時」や「時計」というものは人間が作り出して、人間の都合で人間が動かされている不可視のシステムであることが浮き彫りになったようで、非常に興味深いことだと感じた。

 

〇シンデレラが画期的な童話だったという話を教科書で読んだことがある。「午前0時」という明確な時間が登場する童話はそれまでにないもので、機械産業が活発になってきて人工の時間が必要になったから生み出されたものだと言う話だったような気がする。確かに現代の日本において「お日様が昇ったら起きて、沈んだら寝る」という生活は出来ない。どこまでも人間の行動を縛っているのは昼夜ではなく、人間の作り出した「時」という区分だ。仕事は午後5時で終えなければならない、子供は9時になったら寝なくてはいけない。アニメは7時から始まって、待ち合わせは10時から。そんな状況の中を我々は疑問を持たずに生きている。

 

〇そんなわけで「時」というものを観測するならば人間の理解を超えたところからの視点がないといけないのかもしれない。そもそも人間は「時」そのものを視覚で観測することが出来ない。時を測る定規はあっても、時そのものは目に見えない。ドラえもんの道具でそんな時を具現化する「タイムライト」という何に使うのかよくわからない道具があったけれど、「時」を視覚で確認するというのは実はすごいことなのではないだろうか。縦横高さの三次元の次の方向は時であり、人類が時を視覚で観測できれば四次元の存在になるなんて話もある。仮定の話だけれど、何ともロマンあふれる話だと思っている。この本の最初の方に「次元」の説明があって、次元に限らず様々な角度から事象を見てみたいと思うようになって、それが今の自分の養分にもなっている。ちなみに後半の相対性理論のあたりは未だに読めない。

 

新装版 四次元の世界―超空間から相対性理論へ (ブルーバックス)

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〇時空がひん曲がる話と言うのは非常に書きやすく、アイディア次第で大変面白くなります。またそんな異常事態に放り込まれた人間の焦燥や好奇心を描くにも最適の題材です。今回の他にもこのテーマを題材に何か書くと良いと思います。

 

 〇来月は夏休みで皆さん忙しく、また気候も落ち着いているものではないのでお題での開催はお休みにします。代わりに何か主催者からいくつか創作のヒントみたいな提案が出来ればいいかなぁと淡く考えております。それではみなさん、これから暑くなってきますがどうぞご慈愛ください。

 

【主催者の感想】

diary.sweetberry.jp

 

 女子高生とループものという観点で楽しく読みました。少女特有のモラトリアムと「明日が来なければいいのに」というループは非常に相性が良く、「明日が来ない=成長が可視化されない辛さ」という通過儀礼もしっかり盛り込まれていて、さわやかな読後感がありました。また吹奏楽部という特殊な世界を書こうとして全体的に説明過多になっている面もあって、もう少し少女の内面に踏み込めるとインパクトが違ったのかなぁと思います。例えば「スマホのカレンダーを確認する」という描写も「スマホを取り出す」だけで読者は何が起こっているのかわかるので、テンポよく話を進めてその分焦りなどの描写を追加したり、欲を言えば「コンクール」以外にループから抜け出す手段を模索したりする場面が描けたのかなぁと思います。

 

 

※感想は記事が確認でき次第追加します。