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短編小説の集い「のべらっくす」

月1で出題されるお題に沿って短編小説を書く企画です。

【第8回】短編小説の集い とりまとめ

総評

 お待たせしました、梅雨入り日本列島で夏の気配まっしぐらですこんにちは。それではさっそく行ってみましょう。

 

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kannno-itsuki.hatenablog.com

 

 人狩りの七郎のお話ですね。平仮名のタイトルが印象深いです。『安寿と厨子王』が『すてきなさんにんぐみ』に出会っていたらこんな感じと言うところでしょうか。七郎が何者かという説明や二人組がどうして逃げているかの細かい背景がなくてもお話はどんどん進み、そういう「語らずに語る」が菅野樹さんは上手だなと思いました。

 

kagaris.hatenablog.com

 

 はじめましてこんにちは。就活で揺れ動くモラトリアムなお話ですね。気になったのが「みどりの犬」は実在したのかどうかです。おそらく達彦の迷いの象徴としているので、もしかしたらほかの人には見えない存在なのかもしれませんね。全体的に都会と田舎など二項対立(正反対のものを組み合わせて差異を際立たせる)がしっかり練られていて素敵だと思いました。

 

sakuramizuki20.hatenablog.com

 

 煙草の「わかば」から始まる、また何とも青い感じのお話ですね。中学卒業してしばらくすると、女より男のほうが化けていたりするのはあるあるです。できれば主人公をどちらかに絞って、そのうえで三人称視点にするとグッと主人公の気持ちが伝わります。この場合若葉ちゃんの最初の陰鬱な気持ちから明るい未来につながる気持ちが伝わるといい感じです。そして「本物の恋」についての後日談などもあれば楽しいです。

 

isseihaduki.hatenablog.com

 

 はじめましてこんにちは。騎士とお嬢様の話ですね。個人的にこういう「お守りします系」のお話は大好きで、ニコラスの一途な気持ちが伝わってきますね。ただ勿体ないなと思うところが、ほとんどアンジェラの気持ちを言葉で説明してしまっているところかなと思いました。登場人物の性格が説明ではなくよりはっきりわかるような言動があればばっちりです。

 

sampo.hatenablog.com

 

 不思議な眼を持つソラ君の話ですね。「緑の眼」というと英語で嫉妬を表す表現ということが先に思い出され、実際に主題になっています。結章はソラ君の行動を一切描かず、一人称で表現できるレトリックの良さをふんだんに使っていると思いました。何となくパパがいなくなるのとソラ君の転校のタイミングがいいので、きっと大人の事情があったのではないかと思います。

 

literary-ace.hatenablog.jp

 

 もうこれはカエルくんのお話としか言いようがないですね。今回はオチがとてもきれいだなと思いました。セサミストリートのカーミットは生みの親ジム・ヘンソンが特別思い入れがあったキャラクターらしく、今も全世界でもお話の中でも愛されていますね。それから添嶋譲さんはどんなお話にも安定性があるのがいいです。うまく言えないのですが、文章に非常に信頼性があると思うのです。

 

neo-bunshoudokoro.hatenablog.com

 

 はじめましてこんにちは。緑色の花弁を持つ花の話ですね。実際に「花弁 緑色」で検索したところ、確かに鮮やかな緑色の花ってほとんどないですね。花が喋ると言うと『不思議の国のアリス』が最初に思い浮かびますが、後半はどちらかというと「怪奇スペシャル!喋る花は存在した!!」みたいな感じですね。なんとなく胡散臭い感じが花からも人間からも出ていて好きです。

 

tsubuyaki.hateblo.jp

 

 緑と白の王子様とお姫様の話ですね。背伸びをしているようなかわいらしいボーイミーツガールを中心に、後半の緑と白の色彩が鮮やかで素敵です。前半の舞踏会に興味がないと言う退屈さもうまくにじみ出ていますし、相手の欠点(?)が見えることで仲が深まると言う展開もいいですね。もしファンタジーらしさを追求するなら、「未成年」など現代日本らしい言葉を意図的に取り除くといいかもしれません。

 

mimimi20.hatenablog.com

 

 はじめましてこんにちは。ふらりと立ち寄ってこんな素敵な話をありがとうございました。佐保子さんの新人教育の話ですね。この何かが起こりそうで何も起こらなくて、でも元には戻れない気持ちだけ残していくっていう展開は読ませますね。文章の外で変化していそうな気持ちを読んでいくのは楽しいです。「どこで緑が出てくるのか」とドキドキしたのですが、実に爽快な使われ方で、「小道具」として緑がきれいに出てきて落とした感じがよかったです。

 

masarin-m.hatenablog.com

 

 新緑の鎌倉を舞台に今回は結婚式の話ですね。鎌倉は秋もいいのですが、この春から夏にかけての緑が濃くなってくる時期が本当にきれいです。主催者も鶴岡八幡宮での結婚式を見たことがありますが、あれはひとつの憧れというか、あんなに観光客にオープンになる式もすごいですよね。あとテーマは「緑」でしたが、全体的に「縁」というのもほのかに感じました。

 

hjsmh.hateblo.jp 

 

 幸運にまつわるお話ですね。あんまりな言葉ですが彼女はいわゆる「あげまん」って奴なのでしょうか。それともその後の話の構想を見ると、金銭まわりだけ幸運を呼んで他のツキを下げる「さげまん」なのでしょうか。ちなみに恋愛ものを書くときは最初の出会いの場面と最後の別れのシーンを決めて書くととても書きやすいですよ。

 

yutoma233.hatenablog.com

 

 なんとなく「セルフかぐや姫」を彷彿とさせるお話ですね。現代を舞台にした「羽衣伝説」のような感じがします。女性が天から落ちてきて男性をよりどころとして、また天に帰るのはひとつの伝統だと思います。有無を言わさないラストに向けた展開は勢いがあっていいですね、謎の説得力という奴です。

 

pululux.hatenablog.com

 

 美しい庭を管理するおじいさんと猫の話ですね。庭の様子が丁寧に書かれているところに好感が持てます。オチがない、とありましたが「緑」のテーマ内では十分落とせていると思います。「こういう場面を書きたいんだ」という思いがあれば、基本的にお話は後からついてくるので、自信を持って書いて行ってみてください。

 

kyoukonogokoro.hatenablog.com

 

 はじめましてこんにちは。時間のない中参加ありがとうございました。『輪』をめぐる世界に翻弄される二人の話ですね。『輪』というだけあって、「世界は二人だけのモノ」という印象を受けました。二人が変わったことで、世界も変わっていくのですね。二人のキャラクターの差異をもっと出せると、世界に深みが増すと思われます。

 

zeromoon0.hatenablog.jp

 

 最後に自分のなので特に褒めませんが、ただ「ファンタジー系にしたい」という思いのみで構成したら、気が付けばロリコンファンタジーになっていました。非現実を書くと情景描写に力が入るために心理描写にあまり気を配らないせいか、後で何を書いていいのかわからなくなるものですね。

 

 

 

 今回の頑張ったで賞は「第8回 短編小説の集い参加作品「グミ。」 - ブログ小説晒すはてな」、次点は「All Green 【第8回】短編小説の集い - 明日はどっちだ」をあげます。選考ポイントは「読ませる」というところです。話の展開がどこへ行くのかわからないのもドキドキですし、逆に落語のようにオチを知っていても安心して読めるというのも「読ませる」のテクニックです。

 

 それでは作者の皆様お疲れ様でした。今回は初参加の方が多く、いつもと違った雰囲気で主催者としても励みになりました。書いて読んで感想を出しあって、そんな風に切磋琢磨していく機会があればいいなというのが主催者の望みです。

 

 それではまた来月のお題で会いましょう。