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短編小説の集い「のべらっくす」

こちらでの募集は休止になりました。今までありがとうございました。

【第7回】短編小説の集い とりまとめ

 大変お待たせいたしました。重度の五月病により急性怠惰症候群と慢性倦怠疾患を併発した主催者ですが、心と体は健康です。それでは今月の振り返りです。

 

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lfk.hatenablog.com

 

 謎の女性とのやり取りの中に、何か気になるものを感じると言う話ですね。今回は文字数制限が難しかったとのことです。確かに「これが書きたい」って思うとどんどん書きたいことがあふれてきて、すぐに字数を越えてしまうものです。そういう時は「書きたいものを絞る」というのが必要になってきます。段落やプロットなどを意識されると良いかもしれません。

 

kannno-itsuki.hatenablog.com

 

 文明崩壊後の淡い出会いの話ですね。最近読んだ「少女終末旅行 1 (BUNCH COMICS)」という作品に雰囲気が似ていると思いました。この手の話は個人的に非常に大好きです。無機質で悲惨な背景があるから、人間の感情のぬくもりや触れあいの尊さが生きてくる、みたいなそんな感じです。背景と心情をうまく絡めて表現できるのがこの題材の魅力でもあると思います。

 

zuisho.hatenadiary.jp

 

 はじめましてこんにちは。今しかない今夫の「今」を究極に煮詰めた話ですね。「お話」というよりは「今しかない今夫」の突き詰めた焦りをひたすら描写したという印象を受けました。大体のいわゆる「ループもの」は抗えない悠久の時間への恐れのようなものが織り込まれているのですが、この作品はただひとつの感情と視点で構成されていて自然と今夫の感情と読者が一体となるような感覚がありました。

 

donutno.hatenablog.com

 

 夢も希望も未来もない少年の話ですね。確かに「未来」という言葉には明るいイメージがあるのですが、必ず「良い」イメージばかりではなくそれこそ「夢も希望もない」未来が存在してもおかしくないと思うのです。この作品には「未来」を考えないように、どうせ見えているろくでもない現実に向き合わなければならないけれど向き合う気持ちのない少年の気持ちがよく出ていると思います。

 

tsubuyaki.hateblo.jp

 

 過去の自分から手紙が届く話ですね。「未来の自分へ」という自分は実は過去からやってきた存在で、「未来」と「過去」というのは表裏一体の概念なんですよね。今この一瞬が過去になって、未来だと思っていた時間帯が既に「現在」になっている。そういう連続体の中の「現在」では何が出来るかって言うのがこの話のテーマだと思います。それにしてもこの上司は休んでいるんでしょうか。自分は「俺も休まないからお前は休むな」っていう上司に会ったことはありましたけどね。

 

www.drinkerlife.com

 

 こんにちは。未来に名を残すだろう男を見送る話ですね。初見の感想が「ものすごくせつない」ということでちょっとウルっときました。マクロな視点で考えると名古屋城も鯱も未来に向けた大きな遺産なのですが、その遺産のために過去や現在で失われるものがあるということをじっくり考えることが出来ました。「蔵継いで~」などさりげなく登場する二人の関係を匂わせるけれど完全に説明しきらない描写がとても好きです。

 

yama-aki1025.hatenablog.com

 

 不公平を解消する方舟の中で偽りの不公平を享受する未来の話ですね。読みながらやはり『マトリックス』が過るのですが、それよりも『ドラえもん のび太のブリキの迷宮』かなぁと思いました。方舟の中で送る歪な生活の不気味さに震えるのも楽しいのですが、この作品の面白いところは後半登場する「彼」がどのような心境でコンタクトをとってきたかってことだと思うのです。この辺は極めて現代的ですね。

 

bambi-eco1020.hatenablog.com

 

 過去から当てられた手紙で未来を想う話ですね。ほんわかえこさんのテイストなのですが、意外と「赤ちゃんとたこの体内」とかドキリとするモチーフがちりばめられているのがアクセントになっています。ただの「未来に向かってがんばるぞー」という能天気な話ではなく、そんな感じで未来への不安が入っているのが素敵ですね。あと「なんとかレンジャー」ではなく「ゴレンジャイ」というところが好きです。会話の様子から、2人はお笑いが好きなんだなぁということもわかって良いです。

 

yutoma233.hatenablog.com

 

 はじめましてこんにちは。想像で実際に電車を走らせている社会の話ですね。「もしこんな世界だったら」というifのほかに、時間が経ったことで進化するものと忘れられるもののコントラストが生きていますね。主役が電車というのも、最先端の未来も過去のノスタルジーも同時に表現できるのでいいですね。舞台設定が素敵だと思いました。

 

sakuramizuki20.hatenablog.com

 

 はじめましてこんにちは。ボーカロイドと同じ名前の少女の過去と未来の話ですね。未来の自分からのメッセージというのは説得力がありますよね。そして何だかその科学部に双子と兄さんがいる気がしてなりません。あとこの企画のためにはてなブログを開設してくださったようで、非常に嬉しい限りです。またの機会がありましたらよろしくお願いします。

 

jammioe.hatenablog.com

 

 虫を中心に時間の流れをゆるやかに表した話ですね。「未来」というとピッカピカな希望やサイバーでごてごてしたイメージがありがちですが、まさに「未だ来ず」という言葉のとおりこれから確実にやってくるであろう時間に想いを馳せるのもひとつの「未来」の姿だと思います。まるで一枚の絵葉書のような切り取られた描写は独特で素敵です。

 

pululux.hatenablog.com

 

 はじめましてこんにちは。時を守る少女の旅立ちの話ですね。本格的にイチから世界を作るのは大変だったと思います。壮大なお話の序章でもあり、このお話はここで完結していると考えても良いですね。時が止まっているようで、それでも時間を進めることを怖がるシェリファの気持ちもよくわかって少女の物語としても面白いです。

 

hjsmh.hateblo.jp

 

 未来がわかる少女の話ですね。本当に未来が見えていたのか見えていなかったのかは美希本人ですらわからないことでしょうね。傍から見れば「痛い子」にしか見えないのですが、そんな風に特別な視点で見てもらえることに美希は幸せを見出していたのでしょうか。余談ですが、自分も中学の時「幽霊が見える」と自称する男の子がいましたが、美希と同じような感じだったのだと思います。

 

masarin-m.hatenablog.com

 

 未来に悩む現在と未来の空港での選択のとある選択の話。「羽田で女に止められた」からこの空港の話は相当未来の話ですね。前半の田植えのシーンも情緒たっぷりで好きです。日本は四季がはっきりしているので時間のリセット感覚があるので未来というより、最初の時間に戻るという感覚があるのも独特ですね。前半と後半は個別の作品でもよかったかなと思います。

 

hakoniwa-no09.hatenablog.com

 

 こちらでははじめましてこんにちは。入院中に未来を考える女性の話ですね。呼び名と名字と名前が少しずつ変わって同時に出てきて、意図的に読者を別の人物であると錯覚させるような流れの運びは面白かったです。小説は流れ次第でどこまでも突拍子な展開を作ることが出来るので、現実を参考にいろいろな「もしも」を詰め込んでみてください。

 

ktmk.hatenablog.jp

 

 未来を夢見て、その未来がイレギュラーで歓迎されないものでも先に進めるかと言う話ですね。この手の話を「暗い」とか「重い」なんて言葉で切り捨てる風潮はありますが、登場人物の一貫した考えが背景に流れていて面白いです。ただ、一般には大将の決断の意図が見えにくいと思います。この夫婦の今後をいろいろ考えましたがやっぱりどうしようもなさそうなのでそういうときはアフターピルを服用するのが一番だと思いました。

 

ao-rui.hatenablog.com

 

 素敵な独りプレイの話。オランダ風奥さんとか全部妄想とか考えると面白いのですが、お題から考えると『美女缶』の世界が一番近いのかなと思います。そんな未来なら楽しいな、で終わればよかったんですがao-ruiさん特有のさりげないブラックさが「僕が飽きない限り」っていうワードに集約されていてなかなか味わい深いです。飽きたらどうなるんですか愛香ちゃんは。

 

literary-ace.hatenablog.jp

 

 少しだけ未来を生きた彼らの話ですね。「あなたは少し未来を生きているようですね」のキラーフレーズが光っています。ラストは読者まで胸がぎゅーっと締め付けられるような感覚があって、好きな者同士が初めて気持ちを通わせる瞬間は男も女も動物も無機物も関係なく照れくさく恥ずかしい気持ちになるんですね。そんな素敵な気持ちを大切にしていきたいです。

 

konohanablog.hateblo.jp

 

 おじいちゃんと娘の走る約束の話ですね。老人と子供の組み合わせは過去と未来の邂逅のようで心温まる反面、残酷な現実も突き付けてくるのがいいですね。そのコントラストが「水色のスニーカー」というアイテムを中心に表現されていると思います。そういえば国語の教科書に「そこまでとべたら、じいちゃんは治る」って新しいシューズを履いて跳ぶ女の子の話があった気がするんですが、覚えている人はいますか?

 

aoi-tomoyuki.hatenablog.com

 

 未来のない山田さんの話。オチが真相ならば、山田がCIAに所属したこともサラリーマンであったことも全てなかったことになる可能性のある怖い作品ですね。田所も木村ももしかしたら山田さんの空想の産物の可能性もありますね。そして山田さんの奥さんも犯人も最初からいなくて、この話を読んでいる人も山田さんの空想の世界かもしれないんですよね。山田さんすごい。

 

kalkwater.hatenablog.com

 

 落ちたのは塔からではなく恋と言う罪悪だよという話ですね。舞台が隔絶されたユートピアと外界で、カルキ水さんお馴染みの独特の世界を作っていますね。堕天伝説は各地にありますが、このお話はさながら竹取物語の男性版といったところでしょうか。天上に帰って、何事もなく過ごせないイソハヤミの行き場のない未来の暗示もいいですね。

 

kuichi.hatenablog.com

 

 はじめましてこんにちは。未来予報アプリにまつわるお話ですね。こういう直球なひみつ道具が出てくるお話もいいですね。前にNHK「未来予想の現在と予想」という特集をしていましたが、結局は未来を予想するのに過去の膨大なデータを処理して、現在の状況を計算に入れているのですね。現在の行動が結局未来を決定しているお話の作りも面白かったです。

 

nancy-jo.hatenablog.com

 

 機械で頭を良くする実験をしている話ですね。話の筋は「アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)」を彷彿とさせていて、彼を元に戻したいと願う妹が出てくるのがチャーリィと違うところですかね。淡々と進むラストを見ると、サトルと里美のどちらが「生贄(サクリファイス)」なのか解釈が分かれそうですね。頭を良くする仕組みは知能の拡大などではなく、外部記憶というギミックも面白かったです。

 

zeromoon0.hatenablog.jp

 

 今回の宣伝枠です。明るいぴっかんこ未来も暗いディストピア未来もどちらに振ってもしょーもないと思った結果がこれです。リンクから元の話が読めるので、ネタ出しの部分から読んでみるとまた違った世界が見えると思います。話としてはよくあるループネタです。

 

 

 

 さてさて、今回もたくさんの応募ありがとうございました。これだけ力作がそろってくると、今回の頑張ったで賞を決めるのが心苦しくなってきます。それでも選ぶとしたら、「鯱とあなたと私。 - ポニョの酩酊生活。」を今回の頑張ったで賞にしようと思います。決め手は「これからどうなるかわからない」という余韻が非常に心地よかったことです。どうしても決められた未来を考えてしまうところですが、希望もあり不安も表現されているところが素敵だと思いました。次点は同じ観点で「第7回のべらっくす~幻想井の頭線 - ミステリーをちゃんと読もう」です。

 

 毎月のことですが、各作品の感想も募集しています。このブログのリンクを記事内に入れていただければこちらのブログに掲載しますので、どしどしご応募お待ちしています。「読解力なくて……」「ひとことしか書いてなくて失礼じゃないかな」など、そんなことは些細なことです。作者の方ならばひとことでも感想を貰うとめちゃくちゃうれしいのがお分かりかと思います。もちろん、参加されていない方でも感想を募集していますのでお気軽にリンクを張ってください。

 

 それからお知らせですが、毎月のお題短編小説のほかに自由参加の文章鍛錬企画を考えています。なるべく短編小説の募集時期と被らない程度にお遊び感覚でやってみようと思うので近日続報をお待ちください。

 

 それでは作者の皆様、お疲れ様でした。また次のお題で会いましょう。