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短編小説の集い「のべらっくす」

月1で出題されるお題に沿って短編小説を書く企画です。

【第5回】短編小説の集い とりまとめ

  今回はごたごた前置きはなし! 感想いっきまーす!

 

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【第5回】短編小説の集い 投稿作品一覧 - 短編小説の集い「のべらっくす」

 

 


『猫は「にゃん」と鳴かない』 - うつ病だけど、生きてます

 

 感想一発目からアレなんですが、読後の感想が「盛ってる雌猫」という言葉しか見当たらなかったです。交尾がコミュニケーション、という感じでしょうか。文体からは肉体的な表現や痛みをガンガン感じるのですが、肝心の内面描写や心の痛みに関して詳しく書いているところがそれほどないのが特徴だと思いました。最後のあすかの台詞は、「思い通りにならないと手が出る」森口を糾弾しているのか、「気ままとワガママを混同している」あすかを暗に非難しているのかで読み手の解釈が変わってきますね。

 


【第5回】短編小説の集い「のべらっくす」(テーマ:猫) - 本の覚書

 

 こんちには。初めて小説をお書きになったと言うことで苦心されたと思います。それでも最後まできちんとまとめられていて、特にマラドーナの伏線をラストできちんと生かせたのはよかったと思います。ひとつわからなかったのが、この作品の時間軸です。マラドーナの神の手試合が1986年なので、1990年より少し前のバブル絶頂期かなと思いましたが、「猫を殺してテロリスト」というオウムや酒鬼薔薇事件を思い出させる時節ワードが1995年以降のような気もするのでどちらを想定されているのか気になりました。

 


ねこのした - さらさら録

 

 悪い男だー!! というのが第一感想です。千花の視点で描いているのでせつないお別れみたいに見えますが、男サイドから見ると完全に「猫を手切れ金にして誤魔化した」以外読み取れないです。危ういと思ってしまうのは千花は「セフレ」として割り切ってる感じがあまりしないからかもしれません。しかも元カレの名前をペットにつけちゃってけしからん女の子です。こんな風に一人の視点から描写することで三人称視点でもいろんな表現ができますね。諒次サイドのストーリーがあったらきっと面白い。

 


『サチのおすそわけ』 - 空想島(6畳半)

 

 初心者枠へようこそ! まずは書く、参加するっていうところが非常に大事だと思います。そして作品も丁寧にしっかりと「書きたいこと」を書かれている感じがして素敵だなぁと思いました。猫の「サチ」を軸に主人公と商店街の交流が温かく描かれていますね。「サチ=幸せ」ということでタイトルでオチをつけている感じもなかなかいいですよ。

 


猫のいない場所 - マホ、カルチャー

 

 はじめましてこんにちは。第一印象として、顔を背けてしまいそうなお話ですが最後まで向き合っているようで実は最後で突き放しているところが好きですね。神山くんが戦場の兵士のメタファーで主人公はそれを報道する記者だとすると、最後のシーンが非常に味わい深いですね。そして「床に放ったセーターみたいで、もうどうしようもなく死んでいた。」という表現にはっとさせられました。素敵。

 


咲いている - 悩みは特にありません。

 

 伝説の寺地枠です。寺地さんの文章が心地いいのは多分リズムなんだと思いました。声に出して読みたくなる文はほぼ良い文だと言っていいと思います。もう出だしの「待ってよ待って逃げないで待てよ逃げんじゃねえよと叫びながら、ウキコは竹輪をくわえた猫を追いかけている。」で全てを魅せている感じがする。そして「ウキコ」「牛乳」という名前で惹きこんでいる。計算しているかどうかわかりませんが「浮き子」の内面は二転三転してふわふわと浮いているし、唐突に登場する「牛乳」は読者に引っかかりを持たせて続きを読ませようとしている。すげぇ寺地枠。ラストもキレイ。

 


ライカ・ケイム・バック(第5回短編小説の集い 参加作) - 空想少年通信

 

 はじめましてこんちには。ライカって単語を見るたびにドキッとするくらいライカ犬の話に弱いです。「猫なのにライカ」という引っかかりから始まって、いわゆる夢オチって奴なんですが、後半の猫と対比した犬のスプートニクの使われ方が効果的で素敵だと思いました。更に犬と猫が開拓民となるとドラえもんの名作『野良犬イチの国』のようで、何だかんだ言っても猫と飼い主との信頼を描いているのが面白かったです。

 


【創作】なまいきジャンクション−第5回短篇小説の集い - nerumae

 

 タイトルがまず80年代の漫画風で好きです。それを狙った国民的猫型ロボットがモチーフのお話。何より「いやいい。だいたい2000字で終わりたいからね」がいかにも藤子先生っぽくて笑いました。それにしても青鼠というと何か別のモノを思い出すというか、この生き物急に契約してよとか迫ってきそうだとかいろんな要素が詰まっていていいですね。そして敢えて猫ひろしを忘れるなら、『怪物くん』の少年役の名前はヒロシだ! ということくらいです。

 


『イフ』 - バンビのあくび

 

 イフがifを現実にしちゃうちょっぴり恐ろしいお話。えこさんの文章のいいところなんですが、他の人に見られる「いいこと書いてやろう」というリキみが比較的ないところかもしれないと思いました。特に地の文など芝居がかった言い回しになりがちなんですが、平易な言葉なのに組み合わせが不自然でなくするりと読めてしまう。これはひそかな積み重ねと自分と世界の距離の取り方に気を配っている人にしかできないと思いました。全く関係ないんですが電話で「もしもし」を「イフイフ」って言っちゃう人、最近出会わないんですがまだどこかにいるんですかね。

 


【創作】ちょこのまほうにかけられて - ちーさんのイイネあつめ

 

 放置子は家に連れてきてはいけません! という何かの電波を受信したのですがそれとこれとは関係ないですね。全体的に男の子がちょっと女々しいかなという印象を受けました。淡い恋心だとしても多分中学生って素直になれない時期なのでここまで一途だと小学校中学年くらいの幼い感じを受けます。女の子が女の子に入れあげるタイプのお話だとまたいろんな需要が出てきそうです。

 


ユルバンを気にかけることしばらく 【第5回】短編小説の集い - 思惟ノート

 

 短編小説のいいところってこんな感じでいわゆる「世界観説明」なんてぶっ飛ばしてもなんとなく伝えなくちゃいけないところをきちんと伝えられるところだと思います。ユルバンという存在が散々登場する割にはユルバンが何なのかよくわからないままユルバンを見送るという、主役不在の不条理劇のようです。でもその根底にはきちんと描いている世界が悠然と横たわっていて、あったかい何かが伝わってきました。

 


じいさんのふるぼけた家(第5回短編小説の集い) - ライティング・ハイ

 

 これまで比較的はぁとふるな話が並んできて、そしてこの話もおとぎ話めいているのにやたらと生々しい表現が多くて「猫って人間よりいろんなものを見ているのかもしれない」と思いました。なんていうか、「滅びゆくものの物語」というところに自分は趣深いものを感じました。そして最初と最後で情景と心情が自然とリンクしているのも素敵です。

 


雪どけ - 第5回短編小説の集い - - このはなブログ

 

 二度読んで、やっと視界の滲むパズルを解くことができました。最初から最後まで行き当たりばったりではなく、タイトルを意識して全体を把握しながら書いていることがわかります。序盤から何となく不安な書き出しなのですが、最後までその不安を書ききっているのに直接的な描写がないのが読者にめいめいの感情を湧きださせていると思います。それにしてもタイトルがうまい。梅の花が咲くころ、雪は消えてしまうんだよね。

 


交差点 - OK 余裕

 

 いやーぶん投げたなー、というのが正直な感想です。これはもう小説と言うより、もう少し言葉を選んで書きなおしたら散文詩としてなかなか面白いと思うのです。前衛的を気取って売れてきたバンドがアルバムの7番目くらいに入れるよくわかんないけどなんとなく意味がありそうで、カラオケで歌いたいけどキョトンとされるから歌えない曲の歌詞みたいな読後感で、自分はこのままでも割と好きです。

 


「第五回 短編小説の集い」出品作品。招き猫の物語。 - 池波正太郎をめざして

 

 まさりんさんの作品はキャラクターの魅力もあるんですが、「場所」の魅力が非常に伝わってくると思うのです。「豪徳寺」というエリアの空気が猫を中心に描かれているのがよくわかります。でもこの作品の一番の魅力は「テキ屋の売り口上」でしょう。思わず一息で読んでしまうその口ぶりは最後のオチまで後を引きます。例によってやたらと微妙な関係の男女の物語のようで、実際は紀行文なんかになっても面白いのかなと思いました。

 


短編小説 さばれもん - usaurara's diary

 

 こんにちは。なんとなくアイテムの使われ方や色合いなどから出る雰囲気が吉本ばななっぽいなと思いながら読みました。また、文章の書き方が漫画のコマ割りをひとつひとつ説明している感じがして、色合いは伝わってくるのにモノの手触りや形がなかなか伝わってこないのが印象的でした。ふわっと読んでふわっとどこかへ行ってしまいそうな読後感ですね。

 


夏の三叉路地裏公園 ~短編小説の集い宣伝~ - 無要の葉

 

 最後に自分の作品。正直『夏への扉』しか頭になかったのでちゃんとオリジナル踏襲しようとあれこれ考えたのですが、結局クリスマスと同じく共感の得られやすいモラトリアムネタに逃げたのでした。あとこの時期に真夏の話はよろしくなかったですね。あとで大反省会です。

 

 

 

 そんな感じで、今回の頑張ったで賞は「猫のいない場所 - マホ、カルチャー」です。次点で「ライカ・ケイム・バック(第5回短編小説の集い 参加作) - 空想少年通信」です。選考基準は「そのテーマで猫を使うのか!」という意外性です。個人的に『猫のいない場所』は解体しちゃいたいくらい好きです。意図していない暗喩だらけで個人的にごちそうさまでした。

 

 ちなみに毎回「頑張ったで賞」を決めていますが、単に「個人的に一番印象に残った」くらいの意味合いですので特になんだということはありません。参加することに意義があるのです。

 

 それでは次のお題でお会いしましょう。感想まってるよ! あと今回から自分の作品の振り返りも受け付けます。いつも通り言及して頂ければ拾いに行きますのでよろしくお願いします。

 

【お知らせ】

 グループ作りました。今のところ一般文芸が好きな方の集まりになる予定です。参加はお気軽に。


はてな文芸部 - はてなブログ グループ

 

【短歌の目】

 『なまいきジャンクション』の卯野さんが主催する短歌企画です。


3月の題詠短歌10首および投稿作品ご紹介です - はてな題詠「短歌の目」

 

 

【おまけ】

 期日に間に合わなかったものをここで紹介します。


シュレーディンガーは語らない ― 【第5回】短編小説の集い 投稿したかったけど間に合わなかった作品 - ごくまトリックス

 


短編小説の集い「のべらっくす」に参加しようとしたら期限が切れていた - Letter from Kyoto

 

 ※こっそり追加しました※


【第5回】短編小説の集い - 散るろぐ