短編小説の集い「のべらっくす」

こちらでの募集は休止になりました。今までありがとうございました。

【第1回】短編小説の集い 感想一覧「A ハロウィン・ホラー」編

 紳士淑女のみなさん、お待たせいたしました。

 

 まずは投稿一覧に一部掲載作品の漏れが出てしまったことをお詫び申し上げます。今後このようなことがないよう精進致します。本当にすみませんでした。

 


【第1回】短編小説の集い 投稿作品一覧 - 短編小説の集い「のべらっくす」

 

 さて、『第1回短編小説の集い』は如何でしたでしょうか。今回はA部門に10作品、B部門に8作品の計18作品が集まりました。作者の方々、お疲れ様でした。今回は作品数が少ないのでそれぞれにじっくり感想を書いていきます。

 

 まずは「ハロウィン・ホラー部門」から。

 


【第1回】短編小説の集い投稿作品 「おばあちゃんのカボチャ」 (A) - ごくまトリックス

 

 「週刊ストーリーランド」の老婆シリーズっぽいですね。シンプルに何が怖いのかが丁寧に書いてあってわかりやすくてよいと思います。そして娘が怖がっていることを知ってか知らずか娘の部屋に部屋にカボチャを置く両親の存在も地味に不気味で面白いです。強引な展開に見せかけてそれも全てホラーの伏線と言うのもアリだと思っています。最後のオチも予定調和というか、ひとつの定型として安心して読める作りになっていると思います。怪談物って意外とこの定型が大事だったりするので。欲を言うと「色紙を貼った」だと剥がせばいいだけなので、カボチャを破壊するとか取り返しのつかないことをするとより恐怖度は増すかなと思いました。

 


お題はAのハロウィンで、タイトルは「取り繕い」です - Almost Always

 

 ふわふわしているけれど、しっかり骨の通ったストーリーだと思いました。ひとつの事件をきっかけに二転三転していく事実の目まぐるしさと顛末をしっかりと収めたところが好印象です。どうしてもこういう話だとダラダラと会話文をつなげたくなるのですが、そこを一人の人物の視点と感情で一貫性を持たせているところが良いのだと思います。そしてやっぱり生々しい表現があちこちにあって楽しませてくれます。オチの部分のストレートな言葉は結構心を抉るものがあります。前回の美樹と今回の美樹が同一人物なのかわかりませんが、この世界が広がりを見せてくれたのに感謝です。

 


【創作】天使の領分【ハロウィン・ホラー】 - nerumae

 

 夜の病院×死生観×叙述トリック。連鎖反応で身近な恐怖がひたひたやってくる系のお話です。「恐怖」という概念をお化けではなく誰にでも平等にやってくるアレに仮託しているのが面白いです。平等にやってくるはずなんですが、ある日突然理不尽に奪われたり、逆に理不尽に与えられ続けられたりすることも、おそらく人類が永遠に克服することが出来ないものなんでしょう。発表順でいうとこちらのほうが早いのですが、ちょうどアレのニュースが取りざたされているのもなんとなく意味があるのかなとか思います。お化けなどの超常現象より、逃れられない恐怖や明日にも起こりうる恐怖のほうがじわっとくるものがあります。いつ私たちにのところにゆりえがやってくるのかもわからないのです。あと個人的にナースにジャック・オ・ランタンはめちゃ怖いです。夜道で絶対出会いたくありません。

 


【第1回】短編小説の集い『トリック・オア・トリート!』A ハロウィン・ホラー - ファンタジー頭へようこそ!

 

 だいたい甘い言葉で誘惑してくるものにロクなものがいないのは今に始まった話ではありませんね。自分の居場所を構築するって実はけっこう大変なんですよ。ジャムにしろリエットにしろ、このハロウィンがきっかけで居場所を見つけることができたのかなと思いました。新しい居場所って、成長の証のようであったかいものを感じます。そして最後のコメントの「創作って楽しい」という言葉に何かが救われたような感じがしました。ジャムやリエットのように少しの冒険で救われる人がいることを願います。

 


Aのハロウィンで、タイトルは「ハロウィンだったから」。 - OK 余裕

 

 疾走する感情。ナマの会話はおそらく最初の部分だけで、あとはLINEでのやりとりという現代感あふれる作品。この手の作品は主人公の感情が先走って先走ってついていけない読者を置いて行ってしまう傾向にあるが、一部ハマると「あ、これはもしや俺のこと?」とコアな共感をもらえるという二面性がある。でも「普段隠している自分を解放するイベント」というあたりに「若者にウケる最近のハロウィン」を一番的確に表現している作品だなぁと思いました。あと、もしやこの企画のためにブログを立ち上げてくださいましたか……? どうもありがとうございます!

 


A.ハロウィン・ホラー 『子供好き』 - atsushimissingl’s diary

 

 掲載漏れ本当にすみません。「謝」の文字しかありません。本当にすみません。

 感想ですが、前回同様シンプルな言葉しか使っていないのに世界を作るのが本当にうまいなぁと感心します。言葉で勝負するところはダラダラと長く続けがちになるところですが、この作品は無駄な要素を排してビタっと世界を固定している安定感があります。真面目な話、世間でいう「ロリコンは犯罪者」と実態は乖離していると思っていて、たいていはロリペドだろうがサドマゾだろうが「普通の社会人のように振る舞う」という仮面をかぶって生きているはずです。彼にとっての仮装こそ、「常識的な大人」というものだったのかもしれません。

 

 


ダグラ 【第1回】短編小説の集い (A: ホラー) - 思惟ノート

 

 怖い伝承というジャンルはそれっぽく書くのが難しいのですが、これは客観的に「ダグラ」の描写をすることで感情的な「ダグラ」への恐怖を減らした代わりに不気味さが増す形になっていてよいと思います。「神楽」「猿神」などそれっぽいワードをを無理なく盛り込むのもなかなかグーです。自分はそういう言葉にびくーんと反応してしまうのでメロメロです。ところで結局ダグラって何なんだ。ルルルンルンっていつかはあなたの住む町に来るかもしれませんなのか?

 


【第1回】短編小説の集い「動かない食卓」【A ハロウィン・ホラー】 - 冬色の脈

 

 まず、こういう叙述もの結構好きです。そして小道具がいい。筆談する老婦人、倒れている老人、安心させた後で一気に落とすオチ。子供の恐怖心を丁寧に描写しているのは好感が持てます。人間って得体のしれないものを怖がるのですが、何故か子供と老人になると途端に成人のそれとは違う恐ろしさが発生します。おそらくどちらも人間の世界よりあの世に近い存在だからなのかなとか考えました。とにかくこのばーちゃんは怖い。「ハロウィン=子供のイベント」という発想から一歩外に出た良作だと思います。

 


ハロウィンのささやかな事件|短編小説の集い(A:ハロウィン) - aoi_tomoyuki's blog

 

 これを読んで最初に思ったのはハロウィンとか百合以前に「学校内で火の玉お手玉なんてとんでもない!」という運営目線な意見でした。俗な感想ですみません。そしてこの話全部が花恵の妄想で済むような気がして「若いなぁ」などと思ってしまいました。お姉さまって女子高には絶対いるような気がするけれど、社会に出ると見かけないんだよね。自分が高校生のときはイケメン男子とタメを張れるようなイケメン女子もいて、そんな女の子に憧れが集まっていた記憶があるけどね。自分はどっちかというとエスになってくれる子猫ちゃんのほうが欲しいです。

 


【第1回】短編小説の集い 「鬼火」 (A ハロウィン) - おけばの記録

 

 いつ死ぬんだろうかという恐怖もあるけれど、ずーっと死なないっていう恐怖もあると思う。終わりが来る恐怖もあるのに、何故か永遠に続くものにも人間は恐怖を感じる。そんな矛盾だらけの僕らが響き合うファンタジー。ジャック・オ・ランタンとウィル・オー・ウィスプの話を丁寧に書いた上で、それを見つめる女性の話になっている。カボチャの仮面にはそういう伝承があるということを伝えると言う意味でも重要な作品。そして子供の描写がひとりひとりしっかりしているのも面白い。

 

 

 

 そんなわけでマイフェイバリットを選ばなければいけないのですが、今回はどれも力作ぞろいで困った困った。それでも選ぶとしたら、以下の二作品ですかね。

 

【創作】天使の領分【ハロウィン・ホラー】 - nerumae

【第1回】短編小説の集い「動かない食卓」【A ハロウィン・ホラー】 - 冬色の脈

 

 決め手は「描写の怖さ」ですね。書き手が「ここでぞわっとさせるぞ!」というのが伝わってきたというのが大きいです。おめでとうございます。

 

 さて、今回は「B 写真」編に続きます。もう少しお付き合いください。


【第1回】短編小説の集い 感想一覧「B 写真」編 - 短編小説の集い「のべらっくす」