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短編小説の集い「のべらっくす」

こちらでの募集は休止になりました。今までありがとうございました。

【第0回】短編小説の集い 心に残る作品10選

 紳士淑女の皆さん、ようこそいらっしゃいました。
 『第0回短編小説の集い』はいかがでしたしょうか? 自分を見つめるきっかけになったり、他の方の作品を見て励みにされたようであれば幸いです。


 個人的趣向で恐縮ですが、投稿作品の中から「この作品はいろんな方に読んでもらいたい」と思った10作品を選ばせて頂きました。選考基準は「ストーリー、登場人物がしっかりしている」「登場人物の心情等が的確に表現されている」「他の作品を読んでみたいと思った」「タイトル、書きだしが心に残る」「なんか心に残る」となっています。

 

 さっそく見ていきましょう。順番はなんとなくです。

 


「リンゴリラッパンダと歌う世界」〜短編小説を書く企画に参加してみる〜 - せまいコックピットのなか

※初心者枠で応募されています。


 まず、書き出しで引き込まれる。「控えめな宝石箱を試しにひっくり返してみたみたいに中途半端に綺麗な炭鉱の夜景の中に空から女の子が落ちてくる。」長くて読みにくいようでいて、しっかりと映像が浮かぶ面白い文だと思います。そして場面展開が鮮やかで、「現実→夢(?)→現実」の繋ぎが丁寧に行われていて読者も無理なく付いてこれる範囲で素敵です。

 


短編小説の集いに参加します。 ― 楽園喪失 ― - ごくまトリックス

 

 きちんと「お話」を作ってまとめようという意気込みを強く感じました。この真面目さが文体にも表れていて、虚構の世界なのに丁寧な書き込みが好印象でした。個人的にエナたちの視点をばっさりカットして、ギリアム視点のみで再構成したら感情移入できる箇所が倍増すると思いました。

 


書いてみた - アンサーソン

 

 タイトルがないのは残念ですが、書き出しがとにかく印象的で一気に引き込まれました。 「目の覚めるような赤。女優帽に口紅と脛までの丈のフレアワンピース、そしてエナメルのピンヒール。」と短い言葉ですが一瞬でその女の様子が思い浮かぶのはいいですね。また、文章も最後まで女の怪しい雰囲気を魅せる書き方をしていて好印象でした。一貫性は大事です。

 


僕はりんごが嫌いだった - atsushimissingl’s diary

 

 まずタイトルが好きです。タイトルの中に非常に淡々とした文体ですが、シンプルイズベストです。過剰に盛り付けることもしていないのに、最後でがっちりオチてるのが好印象です。ほぼ行動と言動しか書かれていないのに、何かを想起させられる短編小説としていい作品だと思いました。

 


【創作】阿呆の実 - K Diary

※初心者枠で応募されています。

 

 タイトルの勝利。そして書き出しも非常に面白い。まず「牛太郎」っていう名前がいい。そしてなんとなく『清兵衛と瓢箪』みたいな感じが漂っているけれど、オチはまったく一緒ではない。何より阿保と馬鹿という言葉の違いについてりんごというキーワードから連想して書いていることが面白い。もう発想の勝利。

 


Adam's apple - 働く母のすすめ

※初心者枠で応募されています。


 タイトルと展開とオチを一直線にきれいに結びつけているところが好印象でした。「アダムのりんご」は英語で男性の喉仏を意味するというところから、りんごのすりおろしを経て少年が大人になっていくちょっとした過程をうまく切り取っていると思いました。

 


かたち - 悩みは特にありません。

 

 流石の寺地さんです。どこにでもありそうなことなのに、特別な言葉を使わないでりんごという小道具でこの世界を作り上げるのは職人芸です。登場人物の心情の重ね方も「かつて夫婦のかたちを作り上げた母」と「これから夫婦のかたちを築いていく娘」といい感じにバトンタッチができていて話のオチもキレイにまとまっています。本当にひとつだけ安定感もエモさも飛びぬけているので、次回はシード枠というか、寺地枠を用意しないとダメみたいです。次は寺地枠でお願いします。

 


リンゴ。 - このはなブログ

※初心者枠で応募されています。

 

 短編小説と言うことで、ひとりの人物にフォーカスをあてて心情を書いていく王道です。直子が母親→悟→チヒロと関わる人物の間で揺れる心をりんごの数で表現するのが美しいですね。「私の人生は、リンゴを消費するだけの人生だなあ」というフレーズがさりげなくパンチが効いていて大好きです。

 


Its apple - nerumae 

※初心者枠で応募されています。

 

 これはひとつの感情の発露だと思いました。かっと燃え上がる激しい感情もあれば、どっちつかずで行き場のない感情がふつふつと溜まっていくのもひとつの激しい感情のひとつです。どこまで行っても「どっちつかず」というモチーフが非常に美しい。Adam's appleを噛み千切ろうという男性の静かな拒絶も素敵です。

 


林檎の矢 - Almost Always

※初心者枠で応募されています。

 

  個人的に今回集まった作品の中で一番好きです。テンポは良いのに、とにかくまとまっていない感情がベタベタと張り付いてくる。読んだ後もじわじわと感情をなぶられるような作品だと思いました。この企画始まって一番最初に届いた作品でもあり、「ウィリアム・テル」のりんごをモチーフにしたものもこの作品しかないということもあり、特別な思い入れがあるから良く見えたということもあるかもしれませんが、「元からまとまりのない美樹の心情を丁寧に描いてる」のは間違いなく素晴らしいところだと思います。

 

 そんなわけで主催者選の一番は「林檎の矢」のid:ronpokuさんです。インパクト大事です。

 

 ↓続きの感想はこちらの記事へどうぞ。 


【第0回】短編小説の集い 感想一覧とまとめ - Novel Cluster 's on the Star!

 

【お知らせ】

 なんか好評だったので第1回も企画しています。今回は「第0回」、つまり試運転ですよ。告知は今のところ「10/20(月)」を予定しています。

 

 そういうわけで主催者のアカウントと別に短編小説の集い専用アカウント作りました。更新情報などはこちらで確認してください。